解決事例
2025/08/05 2025/08/07

先祖代々大事にしていた自宅を子供に引き継がせたいご依頼者様の希望をかなえた事例(後継ぎ遺贈型信託)

ご相談内容と解決方法


① ご依頼者様からいただいたご相談内容

私の財産のうち、大きなものとしては、自宅不動産(土地・建物)があります。
これは、私の代まで先祖代々引き継いできており、また、自分と亡き夫とで維持してきた想い入れのある財産です。
ですから、是非、子ども達にも引き継いでいってほしいと考えています。
そこで、「自分が亡くなった後には、長男に遺産を相続させる。その後、子どもがいない長男が亡くなった後には、次男の子どもに相続させる。」

という遺言を作ることも考えているのですが、このような遺言を作ってもらえないでしょうか?


② 解決方法

まず、ご相談があった、「自分が亡くなった後には、長男に遺産を相続させる。その後、長男が亡くなった後には、次男の子どもに相続させる。」という遺言は、民法上無効(=効力が無い)です!

遺言の中で決められるのは、自分の次の世代への遺産承継までで、それ以降(2代目以降)について、定めることはできません。

ご相談者様の御希望を叶える唯一の方法は、「後継ぎ遺贈型民事信託」です。

具体的には、お母様(相談者様)所有の自宅不動産を信託財産として設定することとし、次男さんを財産管理者である受託者とした上で、当初はお母様が引き続き居住し(第一次受益者)、お母様ご逝去後は長男さんが居住し(第二次受益者)、長男さんご逝去時には、最終的に次男のお子さんが財産を引き継ぐ(帰属権利者)、という信託をご提案しました。


③ 後継ぎ遺贈型民事信託の効果

これで、ご相談者様が希望されていた、先祖代々引き継がれてきた自宅不動産についての「後継ぎ遺贈」を実現する仕組みが出来上がりました。

相談者様からは、「自分亡き後どうなってしまうのか心配していましたが、これでようやく安心出来ました」と仰って頂けました。

また、管理を担当する次男さんには信託財産の管理を担っていくことをご説明したところ、「高齢の母が、今後認知症にでもなってしまっていたら、相当古くなってきた自宅不動産の管理・修繕はどうするのか以前から心配していたが、この仕組みなら、きちんと自身で管理していくことができるし、母・兄も含めて、母亡き後の揉めない財産承継を話し合うことができ、ホッと一安心しました。」と仰っていただけました。

※プライバシー保護のため、事例の内容は一部変えております。


④ 担当弁護士のコメント(家族信託のポイント)

家族信託の登場で、従来の民法では実現出来なかった、

新しい解決方法も選択肢の一つになってきました。

今回の「後継ぎ遺贈型民事信託」は、まさに家族信託でしか出来ない解決方法です。

ご相談者様の「想い」を実現するため、一緒に最善の方法を見つけていくお手伝いをさせて頂ければと思っております。

是非、ご相談ください。

この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所
神奈川県弁護士会所属 海野千宏

▪️保有資格
弁護士・民事信託士・宅地建物取引士
▪️取扱分野
家族信託(組成支援、金融機関における信託契約書審査、設定済み信託をめぐるトラブル対応等)、遺言相続、成年後見、不動産トラブルなど
▪️経歴
信託法学会会員 一般社団法人民事信託推進センター理事

© 弁護士 海野 千宏 (みなと綜合法律事務所所属)