ご相談内容と解決方法
① ご依頼者様からいただいたご相談内容
私の財産のうち、大部分が上場株式です。
最近、私自身衰えを感じており、もし、認知症になってしまった場合に、運用出来なくなってしまわないか心配です。
この超低金利時代、株式の安定的運用を、同居している長女に任せ、今後も続けて欲しいと思っています。
何か、良い方法はないでしょうか?
② 解決方法
まず、認知症になってしまった場合、財産管理をしてもらう制度としては、家族信託のほかにも、「後見制度」があります。
ただ、これはご本人様の財産を「守る」というのが基本的な制度理念ですので、リスクがある株式運用は、この制度では基本的には対応できません。
そこで、ご相談者様の御希望を叶える良い方法として「上場株式信託」をご提案します。 具体的には、株式を信託財産として設定することとし、お子様を財産管理者である受託者とした上で、当初はお父様が今までと変わらず配当利益から生活費等の利益を受け(受益者)、お父様ご逝去後はお子様が財産を引継ぐ(帰属権利者)という信託をご提案しました。
③ 上場株式信託の効果
事前に証券会社とも交渉を行った上で、ご相談者様が希望されていた、「上場株式の運用継続」を実現する仕組みが出来上がりました!
※プライバシー保護のため、事例の内容は一部変えております。
④ 担当弁護士のコメント(家族信託のポイント)
家族信託の登場で、従来の民法では十分対応できなかった部分についても、新しい解決方法を提案することが出来るようになってきました。
今回の「上場株式信託」も、従来の民法上の制度からこぼれ落ちてしまい対応できなかった部分を、家族信託で補えた解決事例です。
※なお、「上場株式信託」は、上場株式の信託口口座を開設してくれる証券会社との調整や、開設可能な信託契約書の作成等、注意すべきポイントがありますので、必ず専門家にご相談ください。
金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)、健康寿命のみならず資金寿命の重要性が指摘される現代では、生涯にわたり資産運用を継続していくことが必要不可欠な時代になってきていると思います。
ご相談者様の「想い」を実現するため、弁護士として様々な法制度をご提案しながら、一緒に最善の方法を見つけていくお手伝いをさせて頂ければと思っております。
是非、ご相談ください。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所
神奈川県弁護士会所属 海野千宏
▪️保有資格弁護士・民事信託士・宅地建物取引士
▪️取扱分野
家族信託(組成支援、金融機関における信託契約書審査、設定済み信託をめぐるトラブル対応等)、遺言相続、成年後見、不動産トラブルなど
▪️経歴
信託法学会会員 一般社団法人民事信託推進センター理事
