ご相談内容と解決方法
① ご依頼者様からいただいたご相談内容
父は地主で、駐車場や収益アパートを持っています。
実は、最近父の体調が優れず、頻繁に体調を崩すようになってしまい、事実上は、娘の私が管理を担当していますし、今後も、アパートの管理や修繕を代わりに行わなければならないと思っています。
ただ、父が認知症になってしまうと、管理や修繕、新規賃貸契約、売却も簡単にはできなくなくなると聞きます・・・。 もし、認知症になってしまった場合、第三者の弁護士等、専門職の後見人に管理を任せることになるだろうと聞いています。私たち家族は、できれば、ずっと家族で財産の管理を行っていきたいのです。
また、今後、大規模修繕や建替えに伴う新規融資や、借り換えも想定されます。
何か良い方法はないでしょうか?
② 解決方法
確かに、認知症になってしまった場合には、財産も多額ですので、法定後見制度の場合、専門職の後見人に財産の管理を任せることになるでしょう。
また、任意後見制度を活用しても、新規融資や借り換え対応までは不安が残ります。
そこで、ご相談者様の御希望を叶える良い方法として「賃貸不動産管理信託」をご提案します。
具体的には、地主のお父様の不動産や預かり敷金を含む金銭を信託財産として設定することとし、長女さんを財産管理者である受託者とした上で、
お父様は今まで通り、家賃で生活ができる受益権を受け(受益者)、お父様ご逝去後は、長女が財産を引継ぐ(帰属権利者)
という信託をご提案しました。
③ 賃貸不動産管理信託の効果
信託を活用した融資についての金融機関との調整も含めてサポートさせて頂き、無事に、ご相談者様が希望されていたことを実現する仕組みが出来上がりました。
また、信託に伴い、賃借人の方々へのご案内書面ひな形も提供させて頂き、
スムーズな移行も実現できたと大変喜んで頂けました。
※プライバシー保護のため、事例の内容は一部変えております。
④ 担当弁護士のコメント(家族信託のポイント)
今回の「賃貸不動産管理信託」も、従来からの後見制度では対応できなかった部分について、家族信託により、解決出来た事例です。
ただし、信託した場合の融資対応は、どの金融機関でも必ず出来るわけではありません。残念ながら近時、融資が実現出来なかったトラブル裁判事例も生じています。融資を伴う信託案件の経験もある専門家に依頼の上、進めることが大切です。
ご相談者様の「想い」を実現するため、弁護士として、一緒に最善の方法を見つけていくお手伝いをさせて頂ければと思っております。是非、ご相談ください。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所
神奈川県弁護士会所属 海野千宏
▪️保有資格弁護士・民事信託士・宅地建物取引士
▪️取扱分野
家族信託(組成支援、金融機関における信託契約書審査、設定済み信託をめぐるトラブル対応等)、遺言相続、成年後見、不動産トラブルなど
▪️経歴
信託法学会会員 一般社団法人民事信託推進センター理事
