信託口口座とは? 使っていない個人口座で信託財産(預金)を管理するのではダメですか?
信託口口座とは、信託された預貯金を、受託者個人の財産と分別して管理するための口座のことです。
では、信託口口座は必要なのでしょうか?
目次
信託口口座は必要?
信託された財産を管理する受託者さん自身の預貯金とは別に管理される「信託口口座」の開設自体は、法律上直接義務付けられているわけではありません。
ただ、きちんとした「信託口口座」でなければリスクがありますですので、当事務所では開設をおすすめしております。
【関連】横浜市内で「信託口口座」開設可能な金融機関は?
コチラをご覧ください!
信託口口座を開設しないと何が危険なのか?
使い込みの疑い!?
まず、受託者さんの個人口座を流用する場合、せっかく信託により適切に財産管理をしていても、外から見ると、親御さんから、受託者さんの個人口座へお金が動いており、そこから受託者さんが使っている形になっています。
そのため、せっかく財産管理をしていたのに、親御さんのご逝去後、他の相続人から、使い込みのあらぬ疑いをかけられてしまうなど、嫌な思いをされてしまいかねません。
信託口口座もどき口座?
更に、専用口座を開設するにしても、気を付けなければいけないのは、いわゆる「信託口口座もどき口座」です。
例えば、通帳に書かれる名前が、
「委託者○○受託者△△」
となっていれば、これは、きちんとした「信託口口座」なのでしょうか?
そうとは限らないので、非常に注意が必要です!!
(実際、横浜市内にある金融機関でも、上記のような名称口座を開設しておきながら、
実態は個人口座と変わらない単なる屋号(肩書)付き口座で、「信託口口座」ではない口座しか開設出来ないところが複数あります)
【関連】マネーロンダリングとの関係!?
今後、信託口口座についても、より適切な管理が求められることが想定されます。
詳しくは、コチラをご覧ください!
受託者の義務違反!?
受託者は、委託者から託された財産を、自身の財産とは分別して管理しなければなりません(分別管理義務)。これは受託者が負う基本的な義務です。
少なくとも、横浜市内では「信託口口座」開設可能な金融機関も増えており、実際上の開設支障がないことも考えれば、
「信託口座もどき屋号口座での信託金銭の管理は、受託者の分別管理義務や善管注意義務の違反に当たる場合が多い」とする見解にも、
充分留意しなければならないと思います(遠藤英嗣『家族信託契約』日本加除出版2017年183頁)。
※なお、2020年に日本弁護士連合会から「信託口口座開設等に関するガイドライン」が発表されています。
受託者個人の預金と全く同じ扱い
個人口座を流用する場合は勿論、信託口口座もどき口座で管理をしていると、金融機関の取り扱いとしては、受託者が贈与を受けた、受託者個人の預金と全く同じ扱いになってしまいますので、
金融機関からの相殺、受託者が死亡した場合(受託者の相続財産として扱われて凍結される)等により、
受益者さんの生活費支出等が出来なくなり、信託で守りたかった受益者の生活が害されかねず、リスクがあります。
凍結されたら、裁判すれば良い?
勿論、本当は信託財産なのに間違って凍結等されているわけなので、任意の協力を得られなくても、
裁判を起こして、信託財産であると認めてもらえれば、
当然、信託財産として扱ってもらえます。
問題は、この「当然」のことを実現するのが、一般の方に期待できるのか?という点です。
これは、我々のように弁護士であればともかく、家族信託で予定しているような一般の方、果たして現実的なのか?という疑問があります。
信託口口座を開設出来ない場合は?
※首都圏の事情とは異なり、例えば地方都市等の地域金融機関では、きちんとした信託口口座が開設出来ないケースも多々あります。
その場合には、それを踏まえた個別対応をする必要がありますので、是非、家族信託に詳しい専門家にご相談ください。
さいごに
信託口口座が開設可能な金融機関でも、原則として3000万円以上の入金を必要としているところもありますが、当事務所での信託コンサルティングでは、金融機関における多数の「信託口口座」開設経験に基づき、横浜市内で「信託口口座」開設可能な金融機関・証券会社のご案内・信託口口座開設の交渉も可能ですので、どうぞお問合せください。
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