家族信託はどこに頼む?専門家選びのポイントは?
家族信託をするには、
①「信託契約書」といった書類を作成し、
②信託する財産の名義を移転する必要があります。
ところが、法律の専門家である我々弁護士であっても家族信託の取り扱いは難しく、正しく扱える法律専門家は、ごく少数であるのが現状です。
そこで、家族信託の実績のある法律専門家に相談するのが重要になってきます。
目次
専門家選びのポイントは?
実際に信託をしていくために必要な経験・実績があるか、初回相談でご質問なさってみるのが良いと思います。
例えば、
・これまでの信託契約書の作成件数
・信託した財産の種類(上場株式やマンション・ローンがある場合)
・信託終了まで支援した実績があるか
・金融機関に持ち込まれる信託契約書についての信託口口座開設可否審査業務も担当している専門家か
などのポイントが考えられます。
信託契約書の作成件数
家族信託の手続きには、様々な落とし穴があります。
【参考】市販の書籍やインターネット上のひな形を色々と組み合わせて作成したらトラブルに!?
この辺りは、実際に経験がなければ、書籍知識では分からない点も多々あります。
多数の実績がある専門家であれば、その経験に基づいて、安心の手続きを進めてもらえると思います。
信託した財産の種類(上場株式やマンションの信託・ローンがある場合)
信託する財産が上場株式やマンションである場合、あるいはローンがある場合には、更に複雑で注意が必要となる事項が増えてきます。
これらの信託を依頼する際には、その経験がある専門家に依頼することが大切です。
信託終了まで支援した実績があるか
長く家族信託を取り扱っている専門家であれば、既に過去に設定した信託が終了し、その信託終了支援を行った実績もあるはずです。
信託は、信託契約書を作成して終わりではありません。無事に信託を終了出来ることも重要です。
信託終了までしっかり支援した経験のある専門家なのかも、大切なポイントだと思います。
信託口口座開設可否審査業務の担当
一定の経験がある専門家であれば、金融機関に持ち込まれる信託契約書についての信託口口座開設可否審査業務について、銀行や信用金庫等の金融機関から依頼を受け、審査業務も担当していることが多いと思います。
金融機関から依頼を受け、常に様々な信託契約書の審査を行い、より良き信託契約書作成に向けた検討を行っている専門家であることは、一つの安心材料になると思います。
信託に強い弁護士に依頼するメリット
①家族信託は、遺留分侵害額請求への対応、受益権の評価等、まだまだ解釈が複数あり得る未成熟な部分もあります。
残念ながら、最近では、信託をめぐるトラブル相談も増えてきました。
弁護士なら、トラブルケースの解決経験をもとに、法律の専門家として、どうしたらトラブルを防止できるのか、
事前に予測して紛争を予防するサポートができます。
②既に別のところで作成された家族信託について、内容が不適切であったため、
遺留分侵害や、財産の承継が上手くいかなった等、万が一トラブルになってしまったケースでも、弁護士なら裁判を含めて一貫して対応し、権利を実現することができます。
③信託財産に不動産などが含まれる場合、取り引きや賃貸に関するトラブルが生じてしまっても、弁護士ならワンストップで対応することができます。
ずっと昔に結んだ不動産の賃貸借契約が、放置したままになっているお客様からのご相談も非常に多いです。
このような場合でも、家族信託を設定する機会に、きちんと整理するお手伝いをさせて頂きます。
さいごに
最近は、他士業の方から、裁判事案をも踏まえた弁護士ならではの目線でのセカンドオピニオンをご依頼頂くことも増えて参りました。
また、地域金融機関からのご依頼で、金融機関に持ち込まれる信託契約書の審査業務(信託口口座開設の可否等)も担当しております。
その他、当事務所では、信託に精通した弁護士としてトラブル事案のご相談にも対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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