「任意後見契約」があれば、家族信託は必要ない?
施設の入所契約手続きや、年金口座等の日常的な財産管理だけであれば、任意後見のみでも良いと思います。
但し、例えば、以下の場合には、任意後見では対応できない可能性がありますので、注意が必要です。
・節税対策をしたい
・固定金利特約付の融資を受けているが、条件が有利な金融機関があれば借り換えたい
・融資を受けたい
節税対策をしたい
任意後見では節税対策が出来ない可能性があります。
例えば、家族信託を使わずに、任意後見のみ設定した場合について、
「財産を保存行為的な、浪費しないような形でしか使えないため、節税対策が難しくなりますし、
ご本人の財産・収入に依拠して生活していた配偶者や子供の生活費として支給するといったことも難しくなります」
とされています(丸の内公証役場公証人大野重國『任意後見の公証実務と信託』信託フォーラムVol.9日本加除出版31頁)。
借り換えたい
固定金利特約付の融資を受けている場合、条件が有利な金融機関があれば、将来、借り換えたい場面などもあるかもしれません。
しかし、「法定後見や任意後見では、・・・借換えは困難であることが多いであろう」
とされています(自由と正義 2020年3月号 13頁)
融資を受けたい
・収益アパートが老朽化し、外壁塗装や屋上防水工事などの大規模修繕が必要
・自宅が老朽化した場合や自然災害により損壊した場合に、古い建物を解体し新たな建物を建築する必要がある
等々、将来、金融機関から融資を受けたい場面があるかもしれません。
しかし、「後見制度では、本人のために、後見人が金融機関から融資を受けることは難しい」
とされています(自由と正義 2020年3月号 15頁)
まとめ
以上のように、任意後見も万能ではありません。
そこで、不動産等大きな財産の柔軟な管理は家族信託、
施設の入所契約手続きや、年金口座等の小さな財産管理は任意後見と、
双方を利用しつつ、上手く連携させることが重要だと考えます。
【関連するよくあるご質問】「法定後見制度」使う場合の注意点は?
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