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後見人でも不動産売却が出来ない!?(空き家となった自宅売却の落とし穴)

ご相談内容:後見制度を利用すれば不動産売却も可能?

・母は元々自宅で生活していましたが、認知症が進み、また体調を崩し、施設に入所しました。
・すると先日、自宅不動産について、売却して欲しいという問い合わせがありました。

・今後、体調が回復したら自宅に戻る可能性も全くないわけではありません。
・また、現状は、売却しなければ施設費用が母の預貯金で賄えないわけでもありません。

・ただ、施設入所が続く可能性の方がどちらかと言えば高いと思いますし、今後再度都合よく買い手が見つかるとは限らないと思います。
・なので、このタイミングで売却するのが一番良いと思います。

・家族信託を設定していなくても、後見制度を利用すれば不動産売却も可能と聞きました。
 この場合でも、法定後見制度を利用すれば、当然、売却出来ますよね?

裁判所の「許可」が必要な場合に要注意!

まず、このケースでは、後見人だけの判断では売却出来ず、家庭裁判所の許可が必要となることには注意が必要です。

すなわち、「居住用不動産」の売却には、法律上、家庭裁判所の許可が必要とされています。
そして、「居住用」とは、ご本人が現に住居として使用している場合に限らず、現在は病院に入院していたり施設に入所したりしているために居住していないものの、将来居住する可能性がある場合なども含むとされています(横浜家裁「成年後見人Q&A(令和2年4月版)」P29「Q16 被後見人の居住用不動産の処分」)。

よって、仮に現在は施設入所中で空き家になっていても、今回のように自宅に戻って居住する可能性がある場合には、後見人だけの判断では売却出来ず、家庭裁判所の許可が必要となります。

どうすれば許可をもらえる?必要書類は?書式は?

では、どうすれば家裁に許可をもらえるのでしょうか?

申立書の書式や必要書類等は、横浜家庭裁判所のHPで公開されています(必要書類等申立書)。

必要書類としては、例えば、売却することについての本人親族の同意書が必要とされています。
ここでいう「親族」とは、万が一本人が亡くなったときに相続人となる方々(推定相続人)全員です。
このように、運用上は原則として親族全員の同意書を取り付けることが求められていることには注意が必要です。

※なお、後見人選任直後に許可申立てをすることは出来ず、先に、後見事務計画書と財産目録を提出してからになることにも注意が必要です。

許可してもらえる?

では、必要書類を揃えて申し立てれば、売却が許可されるのでしょうか?

あくまでケースバイケースではありますが、
売却好機も預貯金はあるため、現在の収支上は即時売却の必要性まではなかった、
という、今回と類似のケースで、売却不許可になった事例報告があります。

そもそも後見制度とは

成年後見制度は、ご本人の財産保護という大切な目的を達成するための重要な制度です。

そのため、そもそも後見人において、いたずらに財産を処分することは望ましいこととはいえないとされており、その中でも居住用不動産の処分は特に慎重に判断されるのも、制度としてはやむを得ないところです。

そこで、認知症になってしまわれる前に、しっかりとご本人のご意向をよく確認しておき、もし、施設入所時に自宅売却のご意向があるのであれば、家族信託等で事前に対策を準備しておくのが重要となります。

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この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 神奈川県弁護士会所属 海野千宏
保有資格弁護士・民事信託士・宅地建物取引士
専門分野家族信託(組成支援、金融機関における信託契約書審査、設定済み信託をめぐるトラブル対応等)、遺言相続、成年後見、不動産トラブルなど
経歴信託法学会会員 一般社団法人民事信託推進センター理事(マンション支援信託推進委員会委員)
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