不動産売却や定期預金解約等、後見申立てのきっかけになったことが解決した時に弁護士等の専門職後見人を、親族の意向でやめさせることは出来ますか?
現在の法定後見制度の課題
現在のところ、親族の意向で専門職後見人を強制的に解任することは出来ません。
この意味でも、認知症になってしまわれる前に、家族信託等で生前対策を準備しておくのが重要となります。
今後の検討課題(制度改正)
ただし、以上のような問題点から、令和4年3月25日に第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。
具体的には、「終身ではなく有期(更新)の制度として見直しの機会を付与すべき、本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるようにすべきといった制度改正の方向性に関する指摘」などがされています。
そして、「国は、・・・こうした専門家会議における指摘も踏まえて、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う」とされていますので、今後の改正動向を注視しつつ、適切な制度の選択をして頂ければと思います。
【参考】厚生労働省「第二期成年後見制度利用促進基本計画」7頁参照。
同じカテゴリのQ&A
- 成年後見後見人でも不動産売却が出来ない!?(空き家となった自宅売却の落とし穴) ご相談内容:後見制度を利用すれば不動産売却も可能? ・母は元々自宅で生活していましたが、認知症が進み、また体調を崩し、施設に入所しました。 ・すると先日、自宅不動産について、売却して欲しいという問い合わせがありました。 ・今後、体調が… 全文はこちら
- 成年後見横浜家庭裁判所で弁護士等の専門職が後見人に選任された場合、報酬はどれくらいかかりますか? 横浜家庭裁判所の場合、 管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合でも、基本報酬額は月額3万円~4万円、 管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額が月額5万円~6万円かかります。 また、例えば、介護施設費用を捻出す… 全文はこちら
- 成年後見面倒をみてきた家族であれば、必ず後見人になれますか? 例えば、認知症等により財産管理に支障が出来てたため、面倒をみてきたご家族が自身を法定後見人に選んでもらおうと家庭裁判所にお願いした場合、 ご家族といえども、必ず後見人に選任してもらえるとは限りません。 候補者が必ず選ばれるわけではない … 全文はこちら